「木」まぐれエッセイ
vol.28
平成23年3月14日

新年のご挨拶を済ませたとおもっていたら,はや3月です。
現場に追われ,相変わらず不定期な更新となってしまいました。
不順な気候が続きます。年々,寒暖の差が激しくなりつつあると感じるのは私だけでしょうか。“四季の移ろい”という言葉が消えていかないよう,身近で出来る小さなことを推し進めていきたいと思います。

昨年のことですが,丁度COP10が開催された時期です。
新聞に“雀が無事なら人類も無事”の文字が目にとまりました。

そういえば,最近,雀を見かけなくなりました。個体数が少なくなってしまったのかと思いましたが,そうではないようです。
開発による山林や田畑の減少,瓦屋根の家がなくなること等家の造り方も影響しているのではないでしょうか,環境が変化し雀が生きるには不適な地域環境になってしまったようで考えさせられます。

「生物多様性」何か難しい言葉ですね,
地球上の数千万種とされる多種多様の生き物は,それぞれにつながりを持ち,依存しあって生きているということのようです。

生物多様性は,
水の循環や土壌の形成,保持など人間を含む全ての生物が存在する為の下支えし。
人には食料や繊維,木材,淡水,薬品(例=マダガスカル原産の日々草は抗がん剤の原料)等を提供し,汚染や気候変動などの変化を緩和し,自然災害からの被害も小さくするなど守ってくれているようです。

反面,地球上では毎年,四万種もの生物が絶滅していると言われています。
表現を変えると,現在,これまでのおよそ1,000倍の速度で生き物が絶滅しているという事のようです。
今,やらなくてはいけないことは何か,
森林資源の保全やエネルギーの利用効率と廃棄物の削減などを進めることにより,生物多様性の損失速度を減少させていくことです。
将来も持続的に利用できる環境を保持していくことが求められています。

大学教授が「生物多様性を論じる前に,人の多様性,人と自然との多様性が重要」だと言われた言葉が書かれていましたがそのとおりと思います。

私の事務所の南側に共同住宅があり,東側斜面に雑草が生い茂っています。
そこの小さなお子さん達が斜面で虫を探しています。
歓声が上がったので何か昆虫でも取れたかと聞き耳を立てると,虫の屍骸を見つけたようです。何とも寂しい思いです。
3年程前までは小クワガタやカミキリムシを目にしたりしていましたが,このところ昆虫らしきものをめったに見かけなくなってしまいました。

最近は建物の周りをコンクリ−トで固めてしまう方が多くなりつつあります。可能であれば,家の周りに,木を植えたり,土の面があれば芝生や,草花を植えたりすることをお勧めしています。

落葉樹があれば夏の陽射しを緩和してくれるし,芝生は夏の射すような陽射しを吸収し温度をやわらげてくれます。草木の生長に伴い,思いもかけない鳥が飛んできたり,蝶やバッタなど昆虫も飛来してきたりします。小さなお子さんにとって,植物の成長を間近で見ることができ,いろいろな昆虫と触れ合える自然との格好な出会いの場所ができると考えます。

花木を植える庭が確保できない場合は,プランターや鉢などで花を育てるのも一つの方法だと思います。
土に植えた草花が成長する過程を知る事,雨が降らなければ水やりが必要であり,雑草が生えれば草花が花をつけづらくなる事,アブラムシやバッタなどの害虫が発生すればテントウムシや鳥たちが現れ食べてくれるし,花が咲けば,蝶やアブなどの昆虫が飛来し実をつける媒介をしてくれること,鳥などの餌になる実は運ばれて糞とともに地中に戻され芽吹く事になります。
身近に様々な生き物が生息している事がわかります。自然のサイクルの一部を知り,これらの生き物が住み続けられるような環境を造っていくこと,自然を大切にしていく考え方をはぐくんでいただければとおもいます。
小さな出きることから始められたら如何でしょうか。

住まいの造り手としては,
省エネや地産地消による省資源なども考慮し,
環境に配慮した,体にとってやさしい,
住み続けられる住まいづくりをしていきたいと考えます。